関本征史(環境毒性学)、片平浩孝(保全生物学)、新田梢(植物生態学)、松井久実(動物生理学)
研究の背景
- 私たちの⾝の回りの有害化学物質が河川や湖沼に流⼊すると、⽔に棲む⽣き物に悪影響を与える可能性が考えられます。
- 私たちは、幼⽣から成体への変態を経る両⽣類の代表としてアフリカツメガエルを⽤いて、化学物質の⽣態系への影響を評価する環境モニタリング法の開発に取り組んできました。
- しかし、これまでの⽅法では、⼀定時間経過後に個体をサンプリングする必要があり、⽣きたままでの⽣育評価は困難でした。
アプローチ
- 「環境DNA技術」は、環境⽔を採取し、そこに含まれたDNAを分析することで、⽔⽣⽣物の存在を調べる新しい⼿法です。
- ⽣物は成⻑や健康状態に応じて発現するmRNA(蛋⽩質へと翻訳される遺伝情報の断⽚)が異なるため、これを分析することで成⻑や健康状態を調べることができます。
- 本研究では、⽔中に放出したRNAを分析する「環境RNA技術」を応⽤して、両⽣類の成⻑や健康状態を⾮侵襲的に(傷つけることなく)評価できる技術の開発に取り組み、環境中化学物質の両⽣類に対する影響を評価することを⽬指します。
期待される結果
- ⽔⽣⽣物(個体レベル、集団レベル)の健康状態を⽣きたままで調べられる新しい技術は、⽣き物に優しい環境化学物質の影響評価法の開発に繋がります。
- 閉鎖系(⽔槽や池など)での⿂や両⽣類の健康状態を簡単に把握することができれば、⽔族館などでの飼育や養殖事業などへの応⽤が期待できます。