石原淳子(疫学・公衆衛生学)、小手森綾香(食の情報・栄養疫学)、中舘美佐子(公衆栄養学)、久世明香(行動発達)、永澤美保(同調的共生)、菊水健史(社会内分泌)、茂木一孝(社会神経学)
動物との共生が人間の健康にもたらす影響について、近年、人を対象とした欧米の前向き研究からのエビデンスが多くみられるようになりました。アレルギー、喘息や肥満のみならず、がんや精神疾患との関連性についても明らかになりつつあります。
前向きコホート研究*は、疫学観察研究の中で最も質が高い研究デザインですが、ある要因が原因となって疾病が発生するまでの間、一定期間観察が必要であることから、日本では動物との共生を的確に把握した前向き研究が十分でないのが現状です。一方、欧米人とは異なる遺伝的背景や生活習慣を持つ日本人では、動物共生による健康影響も異なる可能性もあり、日本人集団を対象としたエビデンスを創出することが重要です。
そこで、私たちは動物との共生が日本人の健康に与える影響を明らかにするために前向きコホート研究の既存データを用いた研究を実施します。人を対象とした研究には欠かせない疫学の考え方と、データ解析・収集のスキルが身につきます。
*前向きコホート研究とは、あらかじめ原因を調べておいて、その後の健康状態を追跡する疫学研究の方法です。原因と結果の発生順序に沿っていることから、人を対象とした研究で生じやすい様々なバイアスを回避することができます。
疫学研究は被検者の方から貴重な情報や試料をお預かりして、データ化・分析し、個人情報を守りながら、研究結果を社会に還元する使命があります。時間やルールを守れる方、責任感のある方に仲間になってほしいと思っています。また、データ解析・プログラミングなどデータサイエンスのスキルを身につけたい方、将来、人の健康に貢献する仕事につきたいと思っている方も歓迎します。