片平浩孝(環境生物)、平健介(獣医寄生虫)、坂西梓里(フィールド科学)
自然下の動物には様々な寄生虫が見られます。意外に思われるかもしれませんが、生態系内における寄生虫の多様性やバイオマスは目に付きやすい動物よりもはるかに多く、既知種の4割が何らかの寄生生活を有する種から成ると考えている研究者もいるほどです。
寄生虫は宿主となる動物がいさえすれば地球上のどこからでも見つかります。しかし、あまりにも多様なため、問題となる種を除き研究が進んでおらず、どこにどんな種がいるのかすらわかっていません。例えば日本には4600種以上の魚類生息しているのですが、寄生虫が調べられているのはそのうち1割程度で、残りの9割は手付かずのままです。
東京湾や相模湾で水揚げされる海産魚類を対象に、寄生虫を検査していきます。得られた寄生虫については、顕微鏡観察用の標本を作成し、分類学的な精査を行います。これ以外にもDNA分析に基づくデータベースを構築していきます(この作業のことを「DNAバーコーディング」といいます)。
メインの作業は研究室内での解剖・分析です。標本を確保したら、文献に基づいて、教員とともに種を同定していきましょう。
対象種によっては、100年以上前の⽂献を紐解いていく場合があります。歴史ミステリーや探偵⼩説が好きな⼈はぜひ参加してみてください。真相に迫るワクワクやドキドキを⼿軽に味わえます。あとはYahoo!ニュースでときどき新種発⾒が報告されていますよね。あの裏側に興味のある⽅や、「我こそは明⽇の発⾒を!」と野望に燃える⽅も⼤歓迎です。熱意があればいくらでも未知の種を⾒つけることができます。