永澤美保(介在動物学・異種間同調)、菊水健史(介在動物学・社会内分泌)
ヒトは互いに利他行動を取り合うことで協力社会を築いています。このような関係はヒト特有のものだと考えられてきましたが、現在ではチンパンジーも同種他個体に利他的にふるまうことがわかっています。
イヌは家畜化の過程でヒトに似た社会的認知能力を身につけ、ヒトと協力的な関係を構築してきたといわれています。しかし群れ内で極めて協力的な行動を示すオオカミに比べて、イヌは同種に対して協力行動を示さないという報告もあります。
そこで本プロジェクトでは、利他行動がイヌ同種間でもみられるかどうかを明らかにすることを目的にイヌの食物分配について調べます。
【対象 】一般家庭で飼育されている同居犬2頭
【方法 】イヌ同士が食物分配行動を示すか調べる
本プロジェクトは、介在動物学研究室で取り組んいる「集団形成・維持とその要因」を明らかにする研究課題の一環として実施されています。構成個体のどのような特性や環境条件の下で集団が形成・維持されるかを明らかにするために、協力や寛容性の指標の一つとして食物分配行動を調べます。この研究は、イヌそのものへの理解を深めると同時に、最古の家畜でありヒトと極めて親密な関係を結ぶことができるイヌの特性を通して、社会を理解することを目的としています。
参加される方は、行動実験の実施、行動観察の方法、ホルモン測定法、統計解析法を身につけることができます。
現在、イヌの気質や性別、イヌがどのようなイヌと暮らしてきたかが分配行動に影響している可能性が示されています。また、大学院生が行っている同居犬同士の社会的参照行動の研究結果とも関連が見出されつつあります。
やる気があって体がよく動く方。 一般の飼い主さんを対象に行う実験ですので、予定を合わせられる方。 面談を行います。