都市ダヌキから探るワンヘルス

塚田英晴(保全管理)、平健介(寄生虫)、加瀬ちひろ(動物行動)、片平浩孝(環境生物)、山本誉士(空間解析)

研究の背景

21世紀は都市の時代とも⾔われています。国連によると、2007年には世界の⼈⼝の半数以上が都市に暮らし、2050年には7割以上の⼈⼝が都市に暮らすようになるそうです。都市は⼈間が優占する環境ですが、意外に多様な野⽣動物も⽣活し、特有の都市⽣態系を構成しています。

こうした野⽣動物とヒトとは⽣活空間を共有するため、互いの接触機会が多くなります。野⽣動物と触れ合えることは楽しいことですが、野⽣動物からヒトへ病気が伝染する危険性もあります。都市住⺠である私達⾃⾝の健康を守るためにも、同じ場所で暮らす野⽣動物の健康状態やその⽣息環境の健全性などへの配慮が必要です。それが、ヒト・動物・環境の三者の健康を⼀緒に考えるワンヘルスという考え⽅です。

本プロジェクトでは、都市で我々の⾝近な隣⼈となりつつある都市ダヌキに注⽬し、その⾷性を通じてタヌキ⾃⾝の健康状態や⽣息環境の健全性、さらには、ヒトへ寄⽣⾍病が感染する危険性をモニタリングし、ワンヘルスを実現するのにどのようなアクションができるかを考えていきます。

アプローチ

  • タヌキの糞分析〜タヌキがどれくらいヒト由来の餌資源に依存した⽣活を送っているのかを探ります。
  • タヌキの餌動物の資源調査〜タヌキの餌となる⾃然資源が都市環境下でどれくらい利⽤可能なのかを探ります。
  • タヌキの寄⽣⾍相調査(⾍卵検査)〜タヌキがどんな寄⽣⾍に感染し、ヒトに対して何を感染させる危険性があるのかを探ります。

期待される結果

  1. 都市ダヌキが何をたべて暮らしているかがわかります。
  2. 都市ダヌキにとって何が重要な餌資源となっているかがわかります。
  3. 都市ダヌキの寄⽣⾍感染状況とヒトへの感染リスクがわかります。
  4. 都市ダヌキからみた都市でのワンヘルスの実現に役⽴ちます。
研究詳細PDF
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